「未完成」が売りの商品 : マーケティング企画

2015.11.07 (土)

『カスタマイズ 【特注】をビジネスにする戦略』という本があります。誰にでも使える汎用品に対して消費者の興味が薄れつつあり、「自分ごのみにカスタマイズ」された商品やそうできる商品を好むようになっていることが書かれています。実例として、いろいろな業種のカスタマイズ企業の事例が書いてあって参考になるのでぜひご一読頂きたい本です。

 

事例としては、印刷、シリアルバー、絵本などなどいろいろなジャンルがあげられています。 マーケティング企画 を考える上でもネタ帳としてとても良いです。さて、カスタマイズというアイデアは言い換えると、お客様好みの「完成品」を売るわけですが、本当に自分ごのみの商品を手に入れたいのであれば完成してからでは遅い気がします。

 

と言うより、むしろ「商品をお客様自身が自分ごのみ完成させる」ということ自体が1つの価値になっているともいえます。

 

つまり、カスタマイズした商品を提供する場合には、商品の完成前からお客様に関わってもらう必要があるのです。 マーケティング企画 を考える場合にも、単に売るのではなく、商品が完成してお客様の手に渡るまでのプロセスのどの段階からお客様に関わってもらうのか?を設計する必要があるということです。
今回は、2つのパターンで、未完成品を完成させる マーケティング企画 について考えてみたいと思います。便宜上、カスタマイズ・オーダー型、セルフ・カスタマイズ型の2種類に分けて考えてみましょう。

 

1.カスタマイズ・オーダー型

 

これは、例えば、スターバックスやサンドウィッチチェーンのサブウェイを思い出していただけるとイメージしやすいかもしれません。まず、ドリンクを選んで、シロップや、ホイップ、ミルクの種類を選んで、カップのサイズを決めて「自分好みのドリンク」が出てくるという仕組みです。

 

サブウェイの場合も同様ですね。基本のサンドを選んだあと、パンや野菜のトッピングや、ソースなんかを選んでいくわけです。同じファストフードでも、最初から完成形のメイン(ハンバーガーとか)を中心に構成されているお店とは大分様子が違います。

Grose Auswahl belegter Brotchen

飲食以外の事例で言えば、アメリカの印刷会社で日本にも拠点があるビスタプリントは、印刷できる商品ならだいたいどんなものでも、名刺、ポスター、カレンダー、Tシャツ、手帳、ちょっとしたノベルティまで何でも作れます。たとえば、名刺で言えば、サイズ、紙の色、厚さ、片面か両面か、好みのデザイン・レイアウトまで選べます。やや値段は高めですが、自分好みの名刺を手に入れられることを考えれば支払っても良い程度の価格です。

 

このモデルのメリットは、店から得られるアウトプット(つまり、商品)を自分好みにできることです。ただし、運用上のデメリットは、顧客側に選択するべきことがたくさんあり、最終的なアウトプットが「無数」になってしまうことです。一般に、お客様は選択肢が多いと選択することに嫌気が差して購入をやめてしまうことが多々あるので、その点を克服する必要があります。

 

解決策は、プロセスを幾つかのステップに区切って、その中でさらに幾つかの選択をするように仕向けることです。例えば、サブウェイのでいえば、1.基本のサンドを選ぶ(30種のうちから1つ)、2.パンを選ぶ(4つの中から1つ)、3.野菜のトッピングを選ぶ(あり・なし、ありの場合は8種類から1つ選ぶ)、4.ソースを選ぶ(4種類から1つ)というような感じになりますよね。この場合、本当は無数の選択肢があるんですが、感覚的には4つ選ぶだけですんでいるように感じます。

 

つまり、 マーケティング企画 としてのカスタマイズ・オーダー型の成功のツボは、お客様の選択プロセスをデザインすることといえるでしょう。

 

2.セルフ・カスタマイズ型

 

飲食で言うと、ビュッフェスタイルという感じですね。パーツがいっぱいあるので、自分で好きなパーツを集めて完成品を作ってねって。という マーケティング企画 です。

最近、個人的に「これはいいな」と思ったのは、シリアルの中身を自分で選べるようした売り方です。ベースにするのは、コーンフレークなのか?オーツなのか?それとも、ブラン?グラノーラなのか?を選べます。また、一緒に入れるドライフルーツも、レーズン、バナナ、ベリー、ストローベリー、パイン、などなどお好みで選べるし、ナッツを入れたければこれまた、アーモンドから、クルミ、カシューナッツなどなど好きなモノを入れられます。

IMG_8305

お客様自身が好みのシリアルを作れるように、「パーツ」が用意されている。

ここまでの話を聴いて、なんだ?さっきのカスタマイズ・オーダー型と同じじゃないか?と思うかもしれませんが、決定的な違いがあります。カスタマイズ・オーダー型では、オーダーをする場面でお客様と店員とのコミュニケーションが発生します。しかし、セルフの場合には発生しません。文字通り、お客様が自分で商品を選ぶ作業を完結させる事ができます。

 

そこが大きな違いです。お客様に接するスタッフを追加で採用する必要性や教育・訓練の必要性がない分、 マーケティング企画 としては安上がりと言えそうです。また、商品特性として「加工」のプロセスが発生しないものを選ぶ必要があります。例えば、ビュッフェは出来上がった料理を置いてありますし、シリアルも単純に買ったものを容器に詰め替えるだけでOKです。しかし、ドリンクやサンドウィッチはそうは行きませんよね?

 

ちょっとしたことですが、サービスに人が介在するか?しないか?というのは大きな違いです。「未完成」を売りにしている=自分で好みの完成品をゲットできるという価値ですが、提供の仕方、お店の関わり方は同じではないということです。

 

3.その他

 

スーツなどでは、フルオーダーというのがありますね。お客様の身体にあわせて型をつくって、スーツを仕立てるやり方です。 マーケティング企画 として考えると、事業を拡大しにくいという問題がありますね。お店側が用意した幾つかのサイズの中からスーツを選んでボタンなどの可変部分を変更するイージーオーダーや、コンピューターで作った型紙をベースにマニュアルの範囲でお客様の体型に合わせた修正を加えるパターンオーダーのほうが、手間暇を削減しやすく、現場スタッフの育成もしやすく事業を拡大する余地はあるように思います。

センスのあるパクリ方

餡と皮を分けておくことで、作りたてのパリパリ感を味わえる。

また、ほとんど完成している商品の完成させる作業だけをお客様に渡すような「未完成」商品の事例もあります。典型的なのは、コンビニのおにぎりですとか、餡と皮の部分が別々になっているモナカとかはそうですね。これも、未完成の状態で売ることで、完成したてのパリパリ感をお客様が味わえるという価値を提供しています。最近は、あまり食べませんが、コンビニおにぎりには大変お世話になりました。

 

まとめ

 

今回は、 マーケティング企画 という観点から「未完成」を売りにした商品≒カスタマイズが売りのビジネスについて考えてい見ました。カスタマイズ・オーダー型は商品を提供するプロセスにお店の人が介在し完成させるスタイル、セルフ・カスタマイズ型はお客様だけで商品の完成までをすべて自分で行うスタイルでした。

 

商品特性によって、カスタマイズ・オーダーかセルフ・カスタマイズ型のどちらが適切か?が分かれてきます。しかし、いずれの場合も、 マーケティング企画 に組み込むことで、お客様に完成した商品だけを提供する場合よりも満足度を高めることができるでしょう。

 


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