2017年のテーマは「 組織学習経営 」
目次
組織学習経営 って知ってる?
組織学習経営 というキーワードを聞いたことが無い人も多いかもしれません。
この記事を書いているのは2017年1月3日です。
世の中的には、おそらく本日までがお休みの会社が多いのではないでしょうか?
弊社・株式会社NorthStarは、1月2日が仕事始めでした。
といっても、お客様も動いていませんのでゆっくりペースで細々した作業を再開しただけですが。
さて、弊社は10月が決算なので2期目の3ヶ月目に入っています。あっという間ですね。
ですから、今更、今期の方針を云々するのもおかしな話ではあるのです。
しかし、整理しておいたほうが良いとも思うので、2017年の頭で整理して置こうと思います。
2017のテーマ
結論から言うと、今年のテーマは「 組織学習経営 」にします。
今まで、メイン業務としてきたマーケティングの代行、コピーライティングなどを「止める」わけではありません。
むしろ、マーケティングやコピーライティングをより経営的、組織的な目線で捉え直すことを考えています。
経営的な数値という観点からすると、マーケティングで問われる数値が必ずしも最終的な会社の利益に結びついているか?をよく考える必要があります。
マーケティングでは、CVR=レスポンス率、CPA=顧客獲得単価、CPO=販売当たりコスト、LTV=顧客生涯価値といった数値を追いかけることが多いです。
しかし、これらの数値を追いかけることだけが正解かといえば、そうともいいきれないところがあります。
と言うよりは、数値そのものを追いかけていては数値を達成できないケースが結構あります。
数値は結果であって、そもそも追い求めている事業の目的そのものが意味あるものなのか?という問題が1つ。
そもそも、市場規模として十分な大きさがあるのか?という点が1つ。
追いかけている数字に対応するために、新たな投資をする余力があるかどうかが1つ。
いずれにしても、マーケティングというのは経営全体で言えば、重要ではあるけれどもパーツにすぎないので経営全体を見る必要があるわけです。
経営というのは、つまるところ何か?と考えてみるとつまるところ利回りです。会社の仕組みを例えるなら「お金を投入すると、お金が増えて出て来る機械」ということになります。
資本=お金を投入すると資本+利益をアウトプットする機械です。仮に「キャッシュマシーン」と呼ぶことにしましょう。
アウトプットがマイナスになる場合が、いわゆる赤字ということになります。
細かいことを言えば、アウトプットそのものはプラスになっても、タイミングが遅れてしまう場合も機械が動かなくなるケースがあります。
利益が出ているのに倒産してしまう。
いわゆる、黒字倒産がそれです。
ところで、この機械の動力は何でしょうか?お金を投入すれば、勝手に動くのか?というと、そんなことはありません。そこには、程度の差はあれ、「人」が必要です。
人数はまちまちですが、まったく無人で動く会社なんてものは存在しません。
投入した資本に対するアウトプットは、あくまで投資家としての経営者に向けたものです。
しかし、投資家へのプラスのアウトプットを出すためには、他のところからお金を集める必要があります。
どこから、お金を集めるのか?といえば、市場から集めるわけです。
市場=顧客に、商品・サービスを提供する見返りとしてお金を頂戴する。ここでお金の総量が増えるから、資本プラス利益という状態ができるわけですね。当然のことです。
そして、顧客に商品・サービスを作る(創る)、届けるためには必ず人が必要になります。
人とは、別に直接雇用した正社員だけを意味するわけではありません。
雇用形態や関係性は様々なケースが有るでしょう。
例えば、業務委託という形態やパートナー企業という形もありうるでしょう。
いずれにしても、キャッシュマシーンを回すためには「中の人」が必要で、その「中の人」はキャッシュマシーンを効果的に回すという視点で最適化されている必要があります。
つまり、単に人を集めるだけではなく、人が組織として機能している必要があるのです。
なぜ、組織学習経営か?
結局のところ、キャッシュマシーンとしての会社が持っているそれぞれのシステム=ビジネスモデルを回していくためには人だけではなく「組織」が必要だ。
というのが、1つの結論なわけですが、どんな組織でも良いかと言えばそうではありません。
組織のどこでイベントが発生しても、同じ価値観と目的意識に基づいて迅速かつ有機的に対応できるようにする必要にする必要があります。
古代中国の兵法家・孫子であれば、「卒然のごとし」というような組織です。
「卒然」とは常山というところにいたとされる巨大な蛇で、敵が頭を攻撃すれば尻尾が、尻尾を攻撃すれば頭が、胴に攻撃を受ければ頭と尻尾が、すかさず敵を攻撃します。
この卒然のように、組織全体が1つの思考で統一され連携している必要があるわけです。
1つの思考で統一され、連携して動ける組織を作るメソッドが組織学習経営です。
組織学習経営は池本克之さんが開発したメソッドです。
池本さんといえば、化粧品通販、とくにオールインワンゲルのジャンルで日本一のドクターシーラボ、そしてギャザリングサイトとして大手のネットプライスを上場に導いた経営者です。
両者とも、数年間のうちに急速な成長を成し遂げました。
急速な成長を遂げれば、当然社員数も急増します。
そして、組織である以上は採用した人材には「意味ある仕事」をして貰わねばなりません。
このように急速な成長プロセスの中で、経営トップとしての考えを浸透させ、組織の一員として企業の成長に貢献してもらうために編み出されたのが 組織学習経営 という経営手法です。
この組織学習経営を実践する上で、最低限5つの要素を抑えておく必要があります。
1.MVV
Mission:使命
Vision:ヴィジョン
Value:価値
この3つについては、組織を構成するメンバーで共通の認識を持っている必要があります。
MVVがそれ以降のあらゆる判断、行動、計画の基準です。
ですから、この点について共通の認識が形成されていないのであれば、経営者とメンバー各自の間に認識のズレが生じて当たり前ということになります。
Mission、Vision、Valueいずれについても、ただ額縁に入れて掲げるだけでは不十分です。
基本的な価値観として、メンバーに落とし込んで行動に反映されているか?をチェックしていくことが必要です。
2.相互理解
経営者がなぜ今の事業をしているのか?メンバー各自が、なぜこの会社に関わっているのか?どんな背景を持っているのか?について、お互いに理解していると活動がそうでないときよりも遥かにスムーズに進みます。
考えてみれば、コミュニケーションを阻害する最たる要因は、「相互不信」と「自己正当化」です。
お互いを相手を信じられず、それゆえに自分を守るために自己の立場や行動を正当化するわけです。
「相互不信」「自己正当化」のうち、どちらが主でどちらが従か?と考えてみれば、「相互不信」が主ということになります。
なぜなら、お互いに信用できる関係性ならば自らを正当化して守る必要はないからです。
そんなわけで、組織内のコミュニケーションを改善するためには「相互不信」の逆を行く必要があります。
3.全体思考
全体思考というのは、読んで字の如くで「全体を全体として見る」思考法のことです。
これを組織に適応して考えてみるとこんな感じです。
ある営業チームの営業成績が芳しくありません。
ここでよくあるのは、営業チームのリーダーやメンバーを招集して「頑張れ!」と激を飛ばしたところで、問題が営業チームのモチベーション以外のところにあればまるで無意味ですよね。
営業チームが頑張れば、ある程度は数値が改善するかもしれない。
しかし、問題の本質が別のところにあるのであれば、数字の改善も一時的なものに終わるでしょうし、継続的な成果など上がるはずもない。
むしろ、一時的に士気が上がりハードワークをして数値を改善したにも関わらず、すぐに業績が落ち込めば士気は一気に下がるでしょう。
結果として、ストレスによる体調不良からメンバーが戦線を離脱したり、閉塞感から転職するメンバーも出てくるでしょう。
こうした事態を防ぐためには、実際の起こった問題の「直前」だけでなく、ビジネスモデルやマーケットを視野に入れて真の問題を探ろうとする視点が不可欠です。
4.自己成長
どんな組織でも共通することがあります。それは、組織は個人によって構成されているということです。
だとすれば、組織のパフォーマンスは属する個人のレベルに大きく依存することになります。
例えば、完璧な戦略を叩き込まれた小学生のラグビーチームとデタラメな戦略でゲームをしているオールブラックス(世界的に有名なニュージーランド代表のラグビーチーム)が試合をしたら、結果はどうなるでしょう?
間違いなく、オールブラックスが圧勝しますよね?
いくら完璧な戦略があっても、それを実行するメンバーのレベルが低ければ出せるパフォーマンスは限られてしまいます。
ですから、組織を考える上では、マネジメント手法や人事評価の仕組みとともに、属する個人の成長を促す仕組みが必要不可欠なのです。
5.チームシップc学習
これは、組織学習経営独特の考え方です。
まず、チームシップとは「リーダーシップ」や「フォロワーシップ」とは別のモノです。
リーダーシップという言葉からは、「チームを引っ張っていく」というイメージを連想されると思います。
多くの企業の経営者は、文字通り「会社を引っ張って」いますよね。リーダーシップを発揮しているわけです。
ところが、1人で会社を引っ張るのは結構しんどいはずです。
ですから、経営者の多くは部下に対して「もっと自分で考えて行動してくれよ」「もっと積極的に仕事をしてくれ」「指示を待たずに自分から能動的に働いてくれ」と思っているのではないでしょうか?
ところが、部下はそうは動かない。なぜなら、部下にはフォロワーシップが染み付いているから。
フォロワーシップはリーダーを支える、補佐するといった動きが期待されます。
それ以上のことが期待されているにしても、基本的にはリーダーが「主」でフォロワーが「従」という関係性には変わりがありません。
だから、結局はリーダーが動かなければフォロワーは動かないわけです。
多くの経営者は部下に対してこんな感想を持っています。
「いい子たちだから、言えばやってくれるんだけどね・・・」
この後に続くのは、もちろん「自分からは動いてくれないんだよね」というコメントです。
それは、今、お話してきたように、あなたがリーダーで、部下がフォロワーという形で組織が固まってしまっているからです。
では、どうすれば、部下は自ら能動的に動くようになってくれるのでしょうか?
その解決策は、「チームシップ」を会社の文化にすることです。
チームシップとは、組織を構成するメンバー全員が「共通の目的」のために自らの役割だけでなく、チームにとって最適な動きをして貢献することです。
わかりやすいのは、野球のチームです。
野球というスポーツは、相手チームより一点でも多く点数をとれば勝てるスポーツですよね。
攻撃の回に点を取り、守備の回に点を入れさせなければ勝つわけです。
想像してください、あなたは外野で守備についています。隣の守備位置にフライがふらふらと落ちてきます。
ところが、定位置に本来いるはずの野手がいません。
今のところ、隣の守備位置のあなたがボールに一番近そうです。あなたなら、どうしますか?
とにかく、ボールを取りに走りますよね?
あなたのポジションの仕事であろうがなかろうが、他にボールを捕れる人がいなければ誰かが捕らなければいけません。
大抵の会社では、そういうボール(仕事)を経営者が1人で抱えます。
なぜなら、他の選手=部下が動かないからです。
しかし、本来なら近くにいる選手が走ってくれれば、経営者が走る必要はないわけです。
ボールがどこにとんでも、近くにいる野手が走って送球してくれる。
そんな機動性のある組織をつくるのがチームシップなのです。
そんなチームシップを発揮する具体的な手法として、TDC(TeamShip Discovery Campc)があります。
※詳しくはお問い合わせください。
組織学習経営を取り入れると会社はどうかわるか?
組織学習経営を取り入れることで、会社がどう変わるか?
一言で言うと、「社長が引っ張る会社」から「皆で走る会社」に会社が様変わりします。
課題が起こるたびに、翌年の計画をたてるたびに、殆どの会社では経営者が1人で頭を抱えます。
経営者は孤独というような表現は使い古されていますが、今なお、そんな表現が使い続けられているのは多くの経営者の実感を伴っているからでしょう。
もし、課題の解決策を社員が必死になって考えて実行してくれたら、ワクワクするような来期の計画を社員たちから提案されたら、経営者は孤独という言葉は使われなくなるでしょう。
経営者だけでなく、社員・従業員も会社の目標を「自分ごと」として捉え、その実現に知恵を出し合い手を携えて前進していく。
そんな組織をつくることができるのが組織学習経営という手法なのです。
ぼくは独立してまる4年経ちます。その間、経営コンサルタントやマーケッターとして経営者のお手伝いをしてきました。
表面上の課題は、売上をもっとあげたい、マーケティングの仕組みが作りたい、人が育たないといった課題なのですが、クライアントの抱えている課題の大半が実は「社長が1人で引っ張る会社」という状態そのものに起因していることに気が付きました。
そこで、2017年は「組織学習経営」をキーワードに組織の課題に取り組んでいくことにしました。
単に、マーケティングや売上関連の課題解決をするだけでなく、考える組織、皆で走る組織を作ることで経営者の皆さんに貢献していきたいと思います。
長くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。
質問、お問合わせはページ下部のボタンからお願いします。
株式会社NorthStar 今野富康
参考:
書籍
HP
関連する投稿
現在の記事: 2017年のテーマは「 組織学習経営 」