サンクコスト につてウンコで説明してみた
目次
サンクコスト とは?
サンクコスト とう言葉を聞いたことがあるだろうか?
もしかすると、経営者 や 経理関係 の仕事をしている人には馴染みの薄い言葉かもしれない。
しかし、社長や経理でなくていても、知っていて損はないと思う。
先日も、サンクコスト を巡って、先日、クライアントと話していてこんなことがあった。
なぜ儲からない事業でもやめられないのか?
クライアントがある新規事業をスタートしようとしていた。
ところが、いろいろテストした結果、あまり利益は見込めないことが分かった。
普通であれば、ここでする 判断は撤退だ。
これ以上、儲からない事業にお金も時間も人員も割く必要はない。
というか、業績をより良くするためには、余計な予算を割いてはいけない。
なぜなら、利益が出ないからだ。
利益は重要な判断基準になる
「利益が出ないことはやらない」というのは、当たり前の話に聞こえると思う。
しかし、現実にはある事業単体では赤字になっても、他の事業との合算では黒字になるから継続したり、見た目は赤字でも他事業の利益増に貢献しているからわざわざ残すケースもある。
しかし、今回の場合は、テスト中の新規事業だったから迷わず撤退した方がいいと判断したわけだ。
この事業の行く末について、クライアントにアドバイスを求められたので、ぼくは当然、「もう、撤退してはどうですか?」とアドバイスした。
しかし、クライアントは違う答えを期待していたようだ。
どうにかして「止めずに済む」ようにしたいらしい。
簡単に引き下がれないという人間心理
普通に考えれば、経営者は利益が出ないなら、その事業を止めるという判断をするはずだ。
もちろん、長く続けている事業で既存のお客さんがたくさんいるときはその判断は簡単ではない。
しかし、今回は先程も言った通り新規事業のテストでしかない。
だから、このクライアントの反応はとても不自然に見えた。
それで、よくよく話を聴いてみたのだが、話を聴くといろいろとわかってきた。
第一に、初期段階で張り切ってかなりの資金を投入してしまっていたのだ。
さらに、社長自身、この半年間かなりの 時間 をその 事業 にさいていて、その上、その事業のために人を採用していた。あらら。
感情ではなく数字で判断しよう
確かに、これだけ先行投資をしていると、簡単には引き下がれないのは感情的に理解できる。
「損切り」と口でいうのは簡単だが、感情的にはなかなか受け入れられないかもしれない。
お金を時間をすでに大量に投入していると、誰しも「これだけ投資してきたのだから、止めるのはもったいない」と思うものだ。
しかし、考えて欲しい。すでに、利益 がでない。というか、収益見込みがない。
もっとはっきり言えば赤字にしかならないことであれば、止めたほうがいいに決まっている。
純粋に数字の問題で考えれば、経営資源を投入すればするほど損が出る事業を継続する意味はない。
今更だが、このテーマは本来ならどんな業界でどんな事業をしているか、具体的な話を盛り込んだほうが理解をし易い。
しかし、守秘義務とか、いろいろあって、ぼくとしては具体的な話がしにくい。
そこで、とりあえず、この話をウンコに例えよう。
サンクコストをウンコに例えるとこうなる。
このクライアントが金の採掘業者だったとする。もちろん、採掘業者なんて大資本を必要とする事業を営んでいる会社をクライアントに持ったことは一度もないが、あくまで例えだ。
もしも掘り出した金鉱からウンコが出てきたら
金の採掘業者である以上、金が出そうな山を見つけては穴を掘ることになる。
まずは、そういう鉱山になりそうな山を探し、人を雇い、資金を集め、設備投資をして穴を掘りはじめる。
採掘を始めたときには、いかにも金が出そうな山である。ガンガン掘る。
しかし、そろそろ金の鉱脈が出るであろう深さまで掘ったのだが、出てきたのは金ではなくウンコである。
掘っても掘っても、金ではなくウンコが出てくる。
掘れば掘るほどウンコの山である。
ところが、金を採掘するにも、ウンコを採掘するにも、同じ設備投資=つまり金がかかり、人手が必要で、社長も資金繰りやその他の仕事に労力を投入しなければならない。
それにもかかわらず、金は高く売れるが、ウンコは売れない。
いや、もしかしたら、買う人がいるのかもしれないが、文字通り糞ほどの価値しか無い。
当然、ウンコを採掘すればするほど、赤字は膨らむことになる。
投資してもリターンがウンコでは意味がない
結局、ビジネスは利回りを追求するゲームだ。
だから、投資をしてどれくらいよくリターンを得られるか?を基準にやるべきこととやるべきではないことを判断することになる。
数字だけで考えれば、判断はそれほど難しくはない。
しかし、感情的な問題が絡むとややこしくなることが多い。
今回で言えば、問題は、ウンコを掘り出すために(いや、本当は金を掘り出したかったのだが)すでに多額の費用と人手と労力を投入してしまっていることである。
しかも、このコスト(費用、人手、労力)は戻ってこない。
これが、いわゆるサンクコストと呼ばれるものだ。日本語だと埋没費用と言う。
すでに支出され、どのような意思決定をしても回収できない費用のこと。埋没費用。
[補説]それまでに費やした資金や労力、時間を惜しんで事業を継続すると、損失が拡大するおそれがあることから、意思決定に際して、サンクコストは無視するのが合理的とされる。
(コトバンク様より引用させていただきました)
結局、結論は撤退しかない
サンクコストについての、ちゃんとした人のちゃんとした解説は、ネット上に山ほどあるので後で読んでみて欲しい。
しかし、そういうちゃんとした人のちゃんとした説明を聞いても結論は変わらない。
経営判断としてはサンクコストを惜しんでウンコ掘り続けることは出来ないはずだ。
ウンコを発掘する作業に費用を投じれば、ますます経営状態は悪化する。これは想像でもなんでもなく、極めて現実的な話だ。
どう考えても、多額の経費を投じてウンコを掘り続けることを経営者としては正当化できない。
私企業といっても、会社と社長個人は別人格である。
言い難いことだが、だから、利益が見込めず、しかも合理的に説明がつかないところに、経営を左右するような大きな資金を投じ続けるべきではない。
なぜなら、例え、何千万、何億、何兆円費やそうと、ウンコはやはりウンコで、投入したコストに応じて価値が増えたりしないからだ。
故に、掘っているものがウンコに過ぎないとわかった時点で潔く過去の投資へのこだわりは「水に流す」のが正解だ。
さもなければ、莫大なコストをかけてウンコの山を築くことになる。
まとめ:ウンコの山を築かないために。
そんなわけで、感情的には引き下がりにくくても、「こりゃダメだ」とわかった時点で 手仕舞いにした方がいい。
手仕舞いにすることは 失敗でも、 挫折でもない。
テスト結果に応じて、必要な判断をしただけのことだ。
結果が良ければ継続し、悪ければ止める。
そこに、失敗だの、挫折だのと無駄な意味付けをするから引き下がれなくなるのだ。
ちなみに、今回はビジネスに関連してサンクコストのことを書いたが、これは人生でも同じである。何でもやり続ければいいということはないし、誰とでも付き合い続ければいいというわけではない。
自分が得たい結果、思い描いた未来にふさわしくないなら、今までのコストは水に流して、新たに選び直すべきなのだ。
サンクコストは「過去」である。
過去に未来を決めさせてはいけない。
未来を決めるための判断と行動の時は「今、この時」なのだ。
株式会社NorthStar 今野富康
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