クロージングのコツ :いきなりするな!

2016.01.17 (日)
商談でノックアウト負けをしないために

クロージングのコツ は実は簡単?

クロージングのコツ ってなんでしょうか?

営業しているけど、クロージングが上手く出来ないという人が結構いますよね。

結構あるのは、クロージングをして、相手に決断を促すことに躊躇してしまうというパターンです。

大抵は、クロージングを何度も失敗しているうちに「クロージング恐怖症」になってしまうようです。

 

確かに、クロージングを失敗するのは、怖いですよね。

商談の成立に向けて、今まで積み上げてきた時間や労力が一瞬で無に帰してしまうわけですから。

これは、営業をしている人にとっては誰でも怖いと思います。

もっとも、商談はどこかで決着を付けなければ結局は成立しませんから失敗します。

 

ということは、どこかで結論を出さなければいけませんが、私は小心者なので必ずすることがあります。

それが「 テスクロ 」です。

テスクロとは、「テストクロージング」の略です。

クロージングをする前に、障害になりそうな要素やクロージングの大前提になる要素についてOKを取っていく作業です。

実は、こうした作業、クロージングが苦手な人も無意識にしていることがあります。

ただし、自分でテスクロしたことに気が付かずに、不安なままクロージングの瞬間にたどり着いてしまうわけです。

 

こうしたケースでは、実際には「勝つべくして」勝っているのに、そのことに気がつくことなく相変わらず、次の商談も不安な状態で営業をすることになります。

もしくは、何が上手く行っているか?がわからないために一瞬、自信過剰になって、そのあとスランプに陥り、しばらく自信喪失して、復活する。

ただし、原因がわからないからまたスランプになる。みたいな繰り返しをすることになります。

 

テスクロはクロージングのジャブ

ボクシングを想像して下さい。ボクシングでは「左(ジャブ)を制すものは世界を制す」と言います。

商談でもジャブは大切です。ボクシングにおける、ジャブの役割は

 

1.距離を測る

2.牽制とリズムの構築

3.リサーチと駆け引き

4.相手の崩し

 

などだそうです。

 

つまり、ジャブは必殺の一撃ではないというわけです。

あくまで、試合を有利にすすめるためのツールとして使われています。

これを商談に置き換えると、ジャブはテストクロージング、右ストレートはクロージングです。売るための決定打を最初からブンブン振り回しても、なかなか当たらないというわけです。

だから、ジャブ=テストクロージングで

 

1.距離を測る

2.牽制とリズムの構築=断り文句を探り、話の流れをコントロールし

3.リサーチと駆け引き =反応するポイントを探って、妥協点を見出し

4.相手の崩し= 相手のツボを抑えてから、

 

実際にクロージングを仕掛ける必要があるのです。

必殺の右ストレート(クロージング)を放つのはあくまで高い確率でパンチが当たると確信できてからです。

 

オーソドックスなテスクロの手法

一番簡単で、使用頻度が高い方法は「仮定の話として訊く」方法です。

クロージングは簡単に言うと、商品を買うか買わないかのYes・Noを確定する作業ですよね。

もちろん、営業的にはYesを取りに行くわけですが、同じお客様のYesでも2つ種類があります。

 

説得によるYes

1つは、説得されて出したYesです。

このYesを引き出すと営業マンは仕事をした気になります。

しかし、個人的にはこのYesは「悪い」Yesです。

なぜなら、営業マンがお客様を説得しようとするときには、必ず「営業マンVSお客様」という心理的な立ち位置が出来てしまうからです。

この心理的な構図の中では、営業マンとお客様の間で「勝ち負け」が分かれます。説得できれば勝ち、されれば負け。

あるいは、説得できなければ負け、断れば勝ちという形です。

この構図では、互いに「負けないように」頑張りますから、疲れますし、第一、説得に成功したとしてもお客様の心のなかにはしこりが残ります。

「売りつけられた」というモヤモヤ感です。

 

納得によるYes

そこで、もう1つのYesを取りに行く必要が出てくるのです。

それは、「納得したYes」です。お客様が十分に考え、「自ら」Yesを選択している状態です。

この状況を作るために「仮定の話」のテストクロージングを使うわけです。

 

例えば、

・もし、この◯◯に参加されるとしたら、いついつが良さそうですか?

・仮に、??を使って△△をしたとしたら、今の状況とはどんな違いがありますか?

・◯◯を導入して、??が達成できたら、御社にとってどれくらいの勝ちがありますか?

 

パターンは無数にはりますが、、、とにかく「仮定の話」として進めていきます。

もし、なにか懸念点があったり、相手が違和感を感じているようであれば答えが返ってこないか、相手の表情に変化がでるので一旦立ち止まって、それを探ります。

 

また、上記は「もし、◯◯を買ったら」というパターンですが、お客様が買わない理由が商品以外にある場合もあります。

その場合は、購入プロセスを進めるために必要な情報を集める必要があります。例えば、

 

・もし、社内でお話を進められる場合に必要になりそうな資料がありますか?

・導入の際に実際に、使われる方はどんな方ですか?

・導入時に、◯◯の仕組みや使用法についてトレーニングをさせて頂くことも可能ですが、その場合は御社内の会議室をお借りできますか?

 

などなど。

 

「もし、話をすすめるなら・・・」という仮定の話として、情報を引き出していくわけです。

その場で相手を説得しようとせず、相手の頭のなかで「買ったあと」と「買うまで」をイメージしてもらうのが目的です。

その間に、障害になりそうな要素が見つかればそれらをクリアにしていきます。

 

現状維持バイアスという人間の本能

人間の心理として、何か決断をするように迫られるとプレッシャーを感じるものです。そして、プレッシャーを感じる判断の場合、否定的な結論を選びがちなのです。

理由は、「買わなくても現状維持できる」からです。

人間心理には現状維持バイアスという機能があります。

現状維持バイアスとは、その名の通り「変化を嫌う」人間の心理的傾向です。

新しい何かを現状に付け加えることはプラスになる可能性と同時に、現状を悪化させるリスクがあります。

ですから、人は説得に対して「No」と言いやすいのです。

 

しかし、お客様が「もしも」のプレッシャーのない状態で、購入後、または購入までのプロセスについて冷静にシュミレーションをして、不安を解消することができれば、お客様は自ずとこちらの商品の価値や社内で稟議を通せる可能性に「納得」していきます。

買う理由に納得し、テスクロの段階で見つかった不安要素=買わない理由をクリアにしていければ購入していただける可能性は自然に高まります。

 

 

セールス戦略としての誠実性

戦略というと、なんだか嫌らしい感じがしますが(笑)

ここで言っている、誠実性とは「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を踏まえて行動するということです。

 

欠点は相手が気がつく前に言うべし。

どんな商品サービスでも、万能ではありませんよね?

ですから、欠点や弱点があるなら「自分から」お客様に言うこと。

ポイントは「自分から」です。お客様に先に言わせてはいけません。

ここもポイントです。「言わせてはいけない」のです。

こちらが先に口にすればOKです。

 

今やお客様は「素人とは限らない」

今の時代、お客様が商品やサービスの情報を沢山持っているのは決して珍しいことではありません。

それどころか、今までは競合の商品・サービスのユーザーだった、などということもよくあります。

お客様からすれば、こちらの商品の長所も短所も、先刻承知というケースは多いです。

ですから、相手が先にこちらのウィークポイントを「知っている」のは仕方がありません。

 

しかし、こちらが売り込んだあとにその弱点をお客様に突かれてしまうと、商談が台無しになります。

なぜなら、あたかも営業パーソンが商品の欠点を隠して売りつけようとしているような印象になるからです。

欠点についてあなたが最後まで触れずにすまそうと「見える」ことによって、お客様が営業マンのあなたに不信感を持ちます。

結果として、成約に向けてベクトルを合わせてきた話の流れが壊れてしまいます。

ですから、欠点は自分の口で、お客様より先に言ってしまうほうがベターです。

 

ベネフィットはお客様に発見してもらう

一方で、長所、ベネフィットについてはもちろん営業からも説明はしますが、お客様に商品の価値=素晴らしさを言葉を尽くして説得するのはオススメしません。

むしろ、どのような情報を提供し、どのような問いかけをすれば、お客様自らが私たちの商品の価値を「発見」できるのか?を考えてトークの設計をすることをオススメします。

商談の中に「気づき」や「発見」があると、お客様の気持は乗りやすくなります。

 

人間は他人に押し付けれた「答え」より、自分が発見した「答え」に納得するものです。

しかし、利害関係のある相手が言っていることは警戒心が働いてそのまま受け入れられません。

インターネットで買い物をするときに「レビュー評価」に目を通す人は多いですよね。

なぜ、「レビュー評価」を熱心に見るか?といえば、利害関係がない第三者の意見を聞いて判断の材料にしたいからです。

売り込んでいるお店やメーカーからの話ではなく、買った人の声の方が信用できるわけです。

営業マンとお客様は利害関係のある間柄ですから、説得しようとすればするほど相手の防御心理を刺激することになります。

 

まとめ

今回は クロージングのコツ をテーマにお話をしてきました。

クロージングは商談の結果を左右しますから大切です。

しかし、一か八かの勝負をしているようでは高確率で成約をとりつづけることはできません。

クロージングしていいタイミングかどうか?相手は価値を理解しているか?成約までのプロセスにハードルはないのか?を探りながら、ここぞというところで行う必要があるのです。

 

売れる文章の専門家

今野 富康

 

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