ステマ規制に対する効果的な対策と注意点
目次
ステマ規制とは
ステマ規制とは、「ステルスマーケティング(通称:ステマ)」に対する規則やガイドラインのことを指します。ステルスマーケティングとは、企業やブランドが製品やサービスの顧客に対する認識を高めるために企業自身が商品やサービスを宣伝するのではなく、無償の商品提供などを通じて一般消費者やタレント、ブロガーなどに宣伝を行わせるマーケティングの手法を指します。
ステマは2パターンある
①事業者の従業員が1ユーザーとして偽って発信するもの
②事業者がユーザーに謝礼を渡しているのに広告として明記していないもの
いずれの場合にも、ステルスマーケティングに該当する可能性が高いです。
当記事における当社の立ち位置
当社の専門はランディングページ、ステップメール、メールマガジン、プレスリリース、導入事例制作、などなど、販促系文章の制作です。
したがって、広告運用そのものを専門としているわけではありません。
しかし、広告業は関連業種であり、パートナー企業と連携して広告を活用した集客、販売フローを組み立てることは多いという立ち位置です。
今回は、関連業種の専門家として理解している範囲で「ステマ規制への対策と注意点」を考えてみたいと思います。誤りや認識不足がある場合には、ご指摘いただけるとありがたいです。
ステマ規制の適用対象
ステマ規制は、広告主やマーケティングエージェンシー、そしてその活動を受ける消費者やインフルエンサーに適用されます。
主として、広告主や代理店は、消費者に誤解を与えないような清明な表示、あるいは必要に応じて当該広告がステマであることの開示を行う。
また、商品やサービスの無償提供を受けてその情報を共有するブロガーも、自身が提供を受けた事実を公にするよう義務付けられています。
規制と罰則は事業者や広告主のみ対象。発信するインフルエンサーやアフィリエイターなどは規制対象外です。
ただし、罰則は受けないにしろリスクは存在します。ステマを発信する側も契約解除や公開停止・訂正など社会的ダメージを負う可能性があります。
①企業側から商品と謝礼を受け取っているにも関わらず、PRなど宣伝表記を行わず個人の感想と偽り発信する行為
*ただし以下の場合は例外です。謝礼や契約なく事業者が無料で商品を提供し、インフルエンサーが個人の感想として発信した場合は規制対象外。
②広告の表記がわかりにくい
YouTubeでの短い宣伝や、SNSでのハッシュタグをたくさんつけてPRを目立たなくする行為
③レビューの高評価をお願いする行為
事業者が謝礼を払い、ユーザーに口コミサイトやECサイトのレビューに高評価を依頼する。また、従業員が一般ユーザーとして装い個人の感想のように高評価をつける行為
競合のレビューに低評価を依頼する行為
SEOで言えば、逆SEOのようなアプローチです。もちろん、これも禁止です。
ステマ規制の具体的な内容
ステマ規制には、広告およびプロモーションであることを明示することが求められます。
例えば、
- 製品やサービスの提供者が企業であることを明記する
- 広告内容が広告であることを視覚的に明るく表示する
など、を行う目的は達成できます。
また、ブロガーやインフルエンサーも
- 自身が提供を受けて製品を使用していること
- その製品について述べる意図が広告であること
を明示しなければなりません。
ステマ規制の違反による影響
ステマ規制を違反した場合の影響は以下です。
- 信頼性の低下が最も大きな影響となります。
- 特に消費者は、情報提供者が広告主から利益を得て情報を作成していたことを知ると、その情報提供者に対する信頼性が低下する。
- その結果として商品やサービスへの興味や購買意欲が減退する可能性がある。
その上に、法規制に違反した場合には罰金や広告活動の一時停止などの社会的な制裁を受けることがあります。
ステマ規制への対策方法
「ステルスマーケティング」は消費者の間で不信感を生む可能性もあります。一部の企業では、商品やサービスの見直しと並行して、自社のステルスマーケティングを見直す動きも出てきています。
その理由はステマ行為が露見することで、企業の信頼性が損なわれる可能性があるからです。
従って、1番の対策はステマに相当するマーケティング活動をしないことです。
適切なマーケティング戦略
企業が取り組むべきは「適切なマーケティング戦略」の策定です。品質や企業の理念など、商品やサービスの価値を正直に伝えることが求められます。
そのためには、
- ターゲットとなる消費者のニーズを理解
- 自社の商品やサービスがそれに応える具体的な理由
を明確に示すことが重要です。
また、広告宣伝の透明性も重視しましょう。消費者からの信頼性を得るには、その情報が正確であることを保証する必要があります。広告であることを明示するのは必須です。
適法な宣伝方法の選択
ステマ規制に対応するためには、適法な宣伝方法を選択することが不可欠です。法令遵守は、企業が社会に対して果たすべき最低限の責任です。遵守しないと企業は深刻な信頼の危機に瀕するでしょう。法令遵守を徹底している企業は健全な経済社会の形成にも貢献します。
例えば、今年は中古車大手ビッグモーターが問題になりました。
同社のように遵法意識が低い企業は消費者からより厳しく見られる傾向にあります。
従って、広告・宣伝活動においては常に法規制を意識し、その範囲内で最大限の効果を狙うべきです。
企業の社会的責任を考慮したアプローチ
そのマーケティング戦略が企業の社会的責任(CSR)に照らして適切であることを確認することも重要です。社会から企業が求められる責任の一つとして、情報の透明性と正確性が挙げられます。「見えない広告」とも言えるステマの問題が問われる今日、企業は自社のマーケティング活動が倫理的であり、また法的な規制範囲内にあることを常に確認し、必要な場合にはその方針を見直すことが求められているのです。
ステマ規制違反の主な原因
ステマ規制違反の主な原因には、その手法が広告と判断するものがあります。消費者から見て判断が難しい事からそれとみなされる違反です。その性質から中には何となく判断付けの難しい灰色ゾーンが存在します。また、企業側の認識の甘さも問題を大きくしています。典型例はユーザーへの情報開示の不十分さがです。違反の原因について、次の3つの観点から具体的な原因を考えていきましょう。
誤解を招く表現の使用
誤解を招く表現の使用とは、ユーザーが広告と認識できない表現を使うことです。明確に広告だと分かる内容が伝えられることは重要です。遵守しないとコンテンツそのものが民法や不正競争防止法に違反します。法令違反となれば、当然非常に厄介な問題が発生します。
特に、SNSの広告で問題となる、ステマ(ステルスマーケティング)の例もあります。例えば、広告である事をわざと伏せて、一般の口コミのように見せる手法です。また、その手法はどこまでが誤解を招くものか確定することが難しい部分があります。従って広告主側、発信者両方が注意深く行動する必要があります。その鍵となるのが、広告と認識できるような連絡先表記や表現です。
情報の不透明性
情報の不透明性は、ユーザーに対して必要な情報を適切に提供しないことを指します。
必要な情報とは、例えば、
- 商品の性能
- 価格
- サービスの詳細
などです。
これらの情報は広告を理解するために重要です。
- 重要な情報を控えめに伝える
- 一部しか公開しない
といった場合は違反に問われる場合があります。
また、企業が自社の製品やサービスを宣伝する際、
- 過度に美化する
- 重要な情報を隠蔽したりする
などすると、消費者は真実を知らずに商品やサービスを利用することになります。
その結果、商品・サービスを利用した消費者の期待と異なる結果が生じる場合があります。
このような不透明な情報提供は、消費者の信頼を損なうだけでなく、広告の信頼性も損なわれる結果となります。
不適切な情報提供
不適切な情報提供とは、
- ユーザーに伝えるべき情報を適切な方法で伝えない
- 不必要な、誤った、誤解を招く情報を提供する
ことを指します。
また、広告の発信者が
- 広告主から提供された情報を正確に理解していない
- 誤って解釈して伝えてしまう
という場合にも誤解や誤解が生じます。
これらの誤りや誤解は企業の信頼を損ね、製品やサービスの評価を落とします。
最終的にはそのブランドを損なう結果となりかねません。
また、こうした不適切な情報提供は法的な問題につながり、罰則の対象となることもあります。
ステマ規制違反回避の具体的な方法
ステマの規制違反を回避するための具体的な方法をお伝えします。規制違反を回避するためには、注意深いリスク管理と社内の対策体制の強化が必須です。また、具体的な事例を参考にした行動も助けになるでしょう。
注意深くリスク管理を行う
ステマを運用する際のリスク管理は、企業のブランドイメージを守るためにも重要です。広告主や企業は自身の宣伝に関わる法律をしっかりと理解する必要があります。法律には
- 消費者契約法
- 不当競争防止法
など、広告やプレゼントなどに関する法律が含まれています。
次に、参加するインフルエンサーやタレントの選定にも注意が必要です。その人物に悪評がある場合、結果的に企業イメージに影響を及ぼす可能性があります。また、適切な報酬体系の選択やコンテンツの承認プロセスの設定など、具体的なリスク管理策を検討することが大切です。このこと自体はステマとは別問題ですが重要なポイントです。
社内の対策体制の強化
ステマ規制違反を防ぐためには、
- 社内体制を整備する
- マーケティングに関わるすべてのスタッフがステマの概念とリスクを理解し、遵守する
ことが重要です。
実行するためには、
- 定期的な講習会の開催
- マニュアルの作成
- 適切な報酬や罰則の設定
などが求められます。
また、ステマによるリスクを共有化するための組織作りとして、マネージャーやスターターの役割を明確にし、情報共有のためのルーチンを設けるなどすることも重要です。
具体的な事例を参考にする
過去のステマ規制違反事例を参考にすることで、自社の問題点や対策策を見つけることができます。先行例見つけて研究する価値があるでしょう。
それらの事例を深く分析し、
- 自由化してはならないポイント
- 規制を破る可能性がある行為
- 適切な報酬やコンテンツの承認プロセス
等を明確にすることで、自社のステマ戦略を見直すことができます。企業はこれらの情報を元に、自社の行動計画を作成し、規制違反を未然に防ぐことが求められます。
ステマ規制の将来的な動向
ステマは、見えない形で商品やサービスを推奨し、消費者の購買行動に影響を与える手法です。近年のテクノロジーの進化と共に、SNSやブログなどの影響広範囲に及び、問題が表面化しました。許可なく消費者に商品やサービスを押し付ける行動は、消費者の信頼を失い、企業の評価が下落する恐れがあります。今後、さらなる制度強化が取り組まれる可能性が高いです。
規制の強化の可能性
現行のステマ規制は、特定の企業や商品を非難するものではなく、消費者が適切な商品選択を行えるようにするためのものです。しかし、ステマは現行法制では対応が困難な事例も見受けられます。
これらの問題を解決するために、ステマ規制の強化が必要とされています。
例えば、
- 不適切なステマ行為に対する罰則を明確化する
- 消費者が情報を判断する際の基準を設ける
などの方法が考えられます。
法律の制定や改正は時間を要します。しかし、長期的な視点から見れば、規制が強化される可能性は高いでしょう。
個々の事例に対する対応の見直し
規制法の適用の方法や範囲は個々の事例によって大きく変わります。
具体的なステマ事例とその対応を見直すことで、規則の不備や改良点を発見することが可能です。現在のステマ規制では、一部の誤解を招く事例や、消費者が誤認する可能性のある事例について、明確な対応が取られていない場合があります。これらのケースの対応を見直すことで、規制の適用範囲を明確にし、消費者保護を強化することができるのです。
ステマ規制の国際的な潮流
ステマ規制は日本だけの問題ではなく、世界各国で様々な対策が取られています。特に欧米諸国では、透明性と公正性を重視し、企業側に情報提供の明確化が求められています。また、消費者への教育も盛んに行われ、賢明な購買行動を促しています。
このような国際的な潮流を考えると、日本におけるステマ規制強化に向けた動きは、より透明性と公正性に重きを置いたものになるでしょう。そして、規制の遵守は消費者の信頼を保つことにつながります。また、各国の制度や取り組みを参考に、より効果的な規制強化につなげるはずです。
ステマ規制についての誤解と真実
ステマ規制は、消費者に広告と口コミを誤認させて販売を促進することを規制します。企業が報酬を提供し、その見返りに発信者が特定の商品やサービスを宣伝する場合は明示が必要です。消費者が広告と口コミを誤認するは極めて深刻な事態です。しかし、ステマ規制は決して全ての広告取引に当てはまるものではありません。特定の条件下でしか適用されない規制です。しかし、違反した場合には厳しい罰則があります。
ステマ規制が全ての宣伝に適用されるわけではない
インターネット広告の分野では、ステマ規制が一律に適用されていると誤解されています。ステマ規制の対象は、広告主と宣伝者が契約を結び、その内容が読者に明示されない場合に適応されます。
ただし、一回限りの広告取引や有名人の推奨による宣伝は規制の対象外となる場合があります。一方で、連載企画や企業との長期的な提携契約による内容は規制の対象となります。
ステマ規制の適用例
ステマ規制の適用例としては、商品レビューサイトで有名人が商品の宣伝をする際、その有名人が商品の提供元と契約を結んでいるにも関わらず、その事実を公表しない場合などがあります。このような隠れた広告は消費者を混乱させ、市場の健全な競争を阻害します。また、ブログやSNSで投稿される情報も、スポンサーとの契約が明示されないときはステマに該当します。
違反した場合の具体的な影響
ステマ規制を違反した場合の影響は深刻です。その具体的な影響としては、まず、公正取引委員会からの警告や命令があります。
さらに、
- 罰金
- 社会的な信頼の失墜
といった懲罰的な措置や社会的制裁がとられます。
さらに、その事実が公になった時点で、一部の消費者から見放される可能性もあります。その影響は企業のみならず、個人にも及び、長期的な活動の阻害につながります。事業者や広告主はこのようなリスクを十分に理解した上で、適切な広告活動を行うことが求められます。
→ステマ規制において、消費者庁の「景品表示法」となる。
違反した場合は措置命令として、ステマ発信を依頼した事業名を公表することになる。
措置命令に従わない場合は2年以下の懲役または300万円以下の罰金などが科せられる。
依頼を受けて発信をしたインフルエンサー等の発信側には処分はありません。
しかし、社会的信頼を失うリスクはあるでしょう。
。これらを兼ね備えた取り組みが製品開発における成功につながります。
製品開発とリスク管理のバランス
製品開発はステマ規制への対応とリスク管理のバランスを見つけることが必要です。一方で規制を順守しつつ、他方では新しい技術やアイデアを追求するという難しい課題があります。とはいえ、このバランスを見つけて活用することが企業の進歩と競争力を維持するための重要な手段となります。
リスク管理は、規制に違反するリスクだけでなく、企業の評判や信頼性など、企業全体が直面する潜在的なリスクも含まれます。そのため、制度を理解し、それが事業にどのように影響するかを評価することが重要です。その上で、それぞれのリスクに対して適切な対策を講じることが求められます。
ステマ規制を遵守しながら事業を成功させる
ステマは一時期、マーケティング手法として急速に広まりましたが、その裏では消費者の信頼を損なうという問題が存在していました。そのため、現在では広告標準の見直しやステマ規制が施行され、その遵守が求められるようになりました。その中でも企業の責任は重大で、規制違反は罰則の対象となります。
ステマ規制を遵守しながら成長するための戦略
ステマ規制を遵守しながら事業を成長させていくためには、まず明確なポリシーを設けることが求められます。そしてそのポリシーに基づき、全社一丸となって行動すること。D社ではこのような姿勢を持ち続け、マーケティング活動を展開しました。また、消費者の声を大切にするとともに、その声を形にできる企業こそが、未来永劫成長し続ける企業なのです。ステマの強みである「生の声」を正しく利用し、消費者との信頼関係を築き上げていく。それがステマ規制を遵守しながら成功へと導く道なのでしょう。
ステマ規制にならない場合
第三者が自主的な意志で行っている場合。
①ユーザーが自主的にSNSなどで商品やサービスを発信させた場合
例、スターバックスで新作ドリンクを購入した女子高生達がインスタで感想を添えて発信をした→口コミ
②事業者が無償で商品やサービスを提供し発信を依頼したとしても、ユーザーが自主的に発信した場合
例、エナジードリンクの新作ドリンクとSNSでのハッシュタグキャンペーン応募券を駅前で無償提供し、貰った人が感想を添えてここでもらえたよ!などSNSで宣伝した場合→口コミ
ユーザーへの広告の告知に表現制約はまだ存在しないが・・・
表記がわかりにくい場合はステマ規制の対象となるため、広告の表示が小さかったり大量のハッシュタグに紛れ込ませてわかりにくい場合もNGです。
旧TwitterのXなどは#PR#ADというプロモーションのハッシュタグ、Instagramではタイアップ投稿表示をするのがわかりやすいです。
参考文献
・消費者庁より
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定及び「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」の公表について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/032672/
・ステマ規制とは?いつから始まるのかや運用基準、インフルエンサーとの関わり方までわかりやすく解説 |インターネット広告会社・Web広告代理店|株式会社ユニークワン
https://unique1.co.jp/column/marketing-measures/9104/
・ASP運営やまもとりゅうじさん、弁護士新城安太さん
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