マーケティング戦略 のコア:どう売るか?
マーケティング戦略 を考える上で、もっとも重要なのは「誰に売るか?」という問題です。なぜなら、商品も、マーケティング手法も、 メディア ≒ 広告 を出す 場所 ・店を出す場所も誰に売るか?に大きく依存するからです。
そして、誰に売るか?には、理想的な顧客を抽出する「光のペルソナ」と厄介な客を見分けるための「闇のペルソナ」という2つの面があるのは、先日お話したとおりです。
今回は マーケティング戦略の中でも「どう売るか?」にフォーカスしてお話を進めていきます。 といっても、実は、誰売るのでも基本的な売り方の構造は大きく変わりません。
それこそ、一般消費者に売るのでも、 アメリカ 大統領 に売るのでも、心理の動きはおそらく同じです。
「どこで売るか?」にも関連する話ですが、どこで売るか?については、「マーケティング戦略のコア」シリーズの続きで改めてお話することにします。
というわけで、今回は「どう売るか?」です。
目次
知らないものは買えない
マーケティング戦略 というような難しそうな話の前に、まず考えていただきたいことがあります。それは、あなたはどんな手順でものを買いますか?気がついたら、ポチってる?あるいは、気がついたら、ふと気が付くとレジでお金を払っている? もし、そうなら、早く病院行行って下さい。 病気ですから(笑) 冗談 はともかく、 普通 は、こんな手順で買っているはずです。
- 1.ニーズ/ウォンツ(課題/欲求)が生じる
- 2.商品を認知する
- 3.比較検討する(カテゴリの比較/類似品の比較)
- 4.購入するかどうかの判断
- 5.購入
あるいは、
- 1.商品を知る
- 2.ウォンツ(欲求)が生じる/気づく
- 3. 比較 検討 する(カテゴリの比較/類似品の比較)
- 4.購入するかどうかの判断
- 5.購入
あるいは、
- 1.商品を知る
- 2.ウォンツ( 欲求 )が生じる/気づく
- 3. 購入 するかどうかの 判断
- 4.購入
衝動 買いの場合は、商品を見て(認知して)、欲求が生じて、買うかどうかを 決断 して、買うという手順で進みますよね。なので、 比較検討 はすっ飛ばされます(笑) ? ちなみに、あなたの会社からいつも「 指名買い 」してくれるお客様の場合は、こんな 手順 で判断をしています。 ?
指名 買い というのは、言い換えれば、お客様の頭の中であなたの商品が 優先 順位 1位を 獲得 している状態です。
言ってみれば「脳内 シェア 1位」ですね。
なので、例えば、 頭痛 がした瞬間に「 バファリン 」を思い浮かべるようなイメージです。
上記は「認知」のステップを入れていますが商品がわかっている場合は「認知」もありませんね。
認知が入るのは、たとえば「どこのお店」に行くか?が決まっている場合の行動パターンです。
その場合、お店でも、 ネットショップ でも、 カタログ でもいいですが、商品の存在を知ってから買うことになります。
例えば、「お中元を送らなきゃ!」と思った場合の行動パターンは上記のような感じですよね。
その場合、お客様は欲求が生じた瞬間に買うも、あるいは買う相手が決まっていますから、比較検討はしない傾向にあります。
たとえば、毎年、 三越 から送っているなら、ここで比較検討はおきません。
高島屋 にしようか?とか、 伊勢丹 にしようか?とか、 小田急 にしようか?とか、迷いませんから。
どうですか?
大抵は、上記のパターンのどこかに当てはまった 行動 をして購入しているはずです。
上記のプロセスでもっとも重要なポイントはどこでしょうか?
絶対に、飛ばせないの プロセス 。
それは「知る」です。
お客様は「知らない」商品を買うことは出来ません。
知らなければ、「買いたい」という欲求は生じません。
また、ニーズがあってもその商品を知らなければ「比較検討の 対象 」にすらなりません。
マーケティング戦略を組み立てる上ではまずもって「誰に売るか?」なわけですが、次にやらなければいけないのは「どう売るか?」の中でもお客様 候補に自分の商品の 存在 を知ってもらうことです。
このプロセスを経ないかぎり、他のすべてのマーケティングプロセスを機能させる事はできません。
なぜなら、多くの手法は 競合商品・サービスとの比較検討に勝ち抜いたり、購入判断で背中をおすための手法だからです。
そして、認知を広げるのがおそらく最も難しい。
とくに商品 ジャンル とかカテゴリを認知させるのには大変な時間と労力がかかります。
例えば、今では誰でも知っている「カレー・ルー」という商品を初めて商品化したのは、 ハウス でも、S&B でもなく オリエンタルカレー というメーカーです。
しかし、彼らが カレールー を売り始めた時、日本人の殆どにとって「カレー」そのものが馴染みのない食べ物でした。
では、オリエンタルカレーはどうやってそれを売り込んだのか?
彼らは、日本全国、ときには当時アメリカ領だった 沖縄 にまで営業チームを派遣して売り込みをしました。
ちなみに、普通に「カレーを買いませんか?」と呼びかけたところでカレーという食べ物自体が知られていないので売れません。
そこで、彼らは手品、紙芝居、曲芸といった見世物を日本中の広場で無料で提供することにしました。
戦後間もないころです。
テレビもない、ラジオも持っている人はまれ、そんな環境でしたから人びとは娯楽に飢えています。イベントをすればどんどん人が集まりました。
オリエンタルカレーの営業チームは、その出し物に集まった人びとにカレーを振る舞ったのです。
もちろん、出し物をする人を雇い、出張旅費をかけています。
それでも、カレーを振る舞ったのはなぜか?
それが、もっとも安く、効果的に商品に対する「認知」を広げる手段だったからです。
それくらい、カテゴリそのものの認知を広げる=市場を開拓するというのは大きなコストと労力を必要とします。
ですから、小さなビジネスで勝負をしているうちはまずは既に市場が確立されている商品ジャンルで、ニッチ(隙間)を狙うことが有効なのですね。
この方法であれば、市場は確立されていて認知もされていますし、そのジャンルの商品についてニーズやウォンツのある見込み顧客もいます。
ですから、少ない広告コストと労力で、自社の商品の認知を獲得できる可能性が高いというわけです。
買う理由を納得させる
認知してもらって、ようやくお客様の選択の俎上に上がることが出来ます。ここからは、間接競合とか、直接競合とのしのぎの削り合いになるかと思いきや、、、その前にやつけなければいけない問題があります。
なぜ顧客が買うべきなのか?(ベネフィット)
「誰のための商品か?」というところに納得してもらうプロセスです。
例えば、何らかのサービスを売るとしましょう。
例えば、老後の蓄えを創るためのコンサルティングを提供するとしましょうか。
この時に、「老後の蓄えを創るためのサービスです」といって、万人向けに売込むより、「農家夫婦が老後の蓄えを賢く楽に作る方法」とか、「店舗オーナーが悠々自適な老後を過ごす為の楽々貯蓄法」とか、そいう名前をつけたほうが効果的ということですね。
確実に「みんな」に呼びかけるより「あなた=特定の誰か」に話しかけるほうが、メッセージは強くなります。
心理学でも、同じことが言われていますよね。
例えば、ひき逃げ事故にあったとするじゃないですか?
もし、あなたが被害者なら、「誰か助けて!」なんて言ったらダメですよ。
誰でもいいから、目についた特定の人を指差して「ちょっと、あなた救急車を呼んで!」と叫ばなければ人は動きません。
私自身も、実際にこんな経験をしたことがあります。
駅の上りのエスカレータで老夫婦が同時にころんだんです。
でも、エスカレータは動き続けているので、老夫婦は大勢を立て直せずに何度も頭を売っているんです。
私は改札の外にいたんですが、、近く何十人も人がいるのに誰も動かないのです。
私が改札を飛び越えてエスカレータに飛び乗ったタイミングで、誰かが停止ボタンを押してくれて、九州つすることが出来ませんでした。
最初の1人が適切な行動を取り始めて他の人は初めて動いたわけです。
それが集団心理というものなのです。
不特定多数の誰かに呼びかけても誰も振り向きません。
具体的な誰かに声をかけましょう。それもわかるようにです。
マーケティング戦略 の話なので具体例を挙げてみますね。 ?
- 東京二十三区で製造業を営む社長様へ
- 工場を海外移転して人件費を下げたい社長様へ
- 今年こそは展示会で目に見える成果を出したい社長様へ
- 人材業界で働く30代のママへ
- 東京23区内で働きたいけど保育園が見つからないママへ
などなど、思いつきで書いてみましたが、具体的であればあるほど、当てはまる人は惹きつけられます。
マーケティング=売れる仕組みであり、 マーケティング戦略 はそれを実現するための大方針です。
それを構成する要素は、「誰に売るか」「どう売るか」「どこで売るか」ですよね。
その誰にを具体的に設定できているなら、呼びかける方法を編み出すのはそう難しいことではありません。 ?
なぜあなたから買わねばならないのか?(選択)
お客様に話しかけて、「ああ、なるほど確かに私に必要な商品だ」と認識してもらったとしても、すぐに買ってもらえるわけではありません。
たとえば、私は年がら年中、出張しています。
だいたい本州の東京から西が守備範囲です。
なので、出張が楽になるとか、快適に眠れるとか、安くていい宿とか、そういう情報やグッズには敏感です。
例えば、スーツケースは必需品ですから、定期的に買い換えます。
つまり、スーツケースは買います。
しかし、問題は、どんなスーツケースを買うか?です。
スーツケースと言っても一口に言っても、種類は膨大ですよね。
本当にうんざりするほどあります。
そんな中で、どのスーツケースを私が選ぶか?
もし、あなたがスーツケースを売っている立場だとしたら、あなたは私に「なぜ、あなたからスーツケースを買わなければいけないのか?」を納得させる必要があります。
マーケティング戦略みたいな話をすると比較的ポピュラーなUSPとか、差別化とか言う問題はこの段階で始めて意味を持ちます。
つまり、これこそが「あなたから買わなければいけない理由」というわけです。
例えば、私がスーツケースを選ぶ時のポイントが「頑丈さ」だとすると、「強度」や「修理保証」を謳った商品を選ぶでしょう。
あるいは、それよりも「取り回しのしやすさ」であれば、「軽さ」や「車輪の性能」が評価ポイントになるかもしれません。
実際には、こうした幾つかのポイントの総合点で商品選択をすることになります。
あとは、価格ですが、単に安い商品自体はたくさんあります。
しかし、今、私が上げたようなポイントを気にする人はおそらく「安すぎるのは怪しい」または「期待はずれになりそう」だと感じているケースが多いと思います。
なので、単に安いだけの商品は敬遠されるはずです。
「頑丈さ」や「取り回しのしやすさ」というのは、お客様の判断基準に属する問題ですよね?
現実のビジネスで大切なのは、お客様にどうやって自社の商品を購入しやすい「判断基準」を持ってもらうか?というものです。
マーケティングで「今すぐ客」だけではなく「そのうち客」を積極的に取り込む理由はここにあります。
「そのうち客」を集めた企業が何をするかといえば、情報発信です。
メルマガを発行したり、会員サイトに情報をアップしたり、会報誌を送ったり、ニュースレターを郵送したり、ファックスしたり、そういう作業です。
つまり、自社の扱っている商品や商品ジャンルに関心がある人たちを集めて「教育」することをしているわけです。
このプロセスで、お客様に「判断基準」を教育します。
その結果として、自社の強みに当たる部分を購入の判断基準にしている見込み客のグループを抱えることになります。
実際に、広告に巨費を投じている教材やセミナーを売っている会社であっても、実際に広告から直接、巨額の売上を上げているわけではなくて、見込み顧客をリストに取り込んで教育するうちに有料商品を売って、顧客化していく会社はうまく行っています。
そして、意味のある売上の大半はメルマガリスト=教育済みのお客様から生まれているのです。
買わない理由を取り除く
マーケティング戦略と言うと、売る方法ばかりを考えがちなんですが、「買わない理由」を取り除いてあげることもまた重要な要素です。
思い出して欲しいのは、「欲しい」のに買わない時にあなたの心の中でどんな葛藤が生まれているか?という問題です。
心の中の声はどんなものでしょうか?
「この商品いいなあ。。。けど。。。」という用な感じではないでしょうか?
マーケティング戦略 を実践に落としていく上ではこの「けど。。。」に続く内容をクリアにしていくことが大切です。
例えば、
- 欲しいけど、今、手持ちの現金がない→クレジット払いOKにする。分割払いにする。後日請求書を送る。
- 欲しいけど、本当にいい商品なのか不安→90日間返金保証、満足保証
- 欲しいけど、壊れたらどうすればいいの?→1年間の無料修理保証
- 欲しいけど、壊れたら修理代が高そう→修理保険制度の提供(AppleCareみたいなもの)
- 欲しいけど、損していないか不安→商品価値を十分に説明するパンフレットをつける。有名人に宣伝させる。
- 欲しいけど、家族や友人に金遣いの荒さを指摘されるのが嫌→「自分へのご褒美」「今だけの特別価格」など言い訳を用意する
- 欲しいけど、売っている人が怪しい→実績、他人の推薦、お客様の声などの社会的証明を売り込み(チラシやセールスレター)に持ち込む。
- 欲しいけど、時間がない。→リアル店舗での販売を通販に切り替える、セミナーの代わりにDVDを売る
などなど、パターンは色々ありますが、とにかく「不安」「買わない理由」をクリアにするのがとても大切な作業になります。
欲しくて、買うだけの経済的余力があって、なおかつ買わない理由がなければ、お客様が買ってくれる可能性が高いのは想像できますよね。
ただし、まだ、問題が残っています。それは、お客様が「いつ」買うか?です。
今、行動しなければいけない理由を教える
人間は欲しいという気持ちが盛り上がっている時に、商品を見れば頼まれなくても進んで買ってくれるものです。
マーケティング戦略 を考える上では、その時を逃さないように設計することがとても大切です。具体的にはこんな戦術を使う事が多いです。
- 個数限定、数量限定、人数限定(希少性)
- 先着順(希少性)
- 締め切り※◯月◯日(△)までの限定割引
- 今回だけの特典/オマケ
- スペシャルエディション
- ワンタイムオファー(商品購入直後だけの特別条件で、他の商品を販売)
要するに、「いつでも手に入るわけではない」という状況を演出することと、「いつまでに行動しなければいけないか」を明確にすることが重要なわけです。
購買心理、というか人間心理ですが、何かを手に入れるワクワクより、何かを失う恐怖や不安のほうが人を行動に駆り立てるものです。
希少性を演出するということはすなわち「買えなくなる可能性」を演出するということですから、お客様側から見ると「失う不安」「喪失の恐怖」を擬似的に感じてしまうものなのです。
締め切りにも似たような効果があります。「購入の機会」が失われるように感じられるのですね。
締め切りの良い所は、何段階にも設定することが出来て、結果的にそれぞれのタイミングでお客様に購入の決断を迫ることができることです。
まとめ
今回は、 マーケティング戦略の中でも「どう売るか?」の部分をお話しました。
まずは、顧客の行動パターンから考え始めて、購入の決断に必要になるようにあぶり出して、「買わない理由」を取り除く、さらに「今買う理由」を演出して購買行動を促すというような手順でした。
しつこいようですが、まずもって「誰に売るか」の部分が正しく設定されていることが成果を出すための前提条件です。
マーケティング戦略 を考える上では順番が大切なのです。
もっとも、手元に既に商品がある場合には商品が提供する価値から考えて、次にその価値が「誰にとって」もっとも役に立つか?という手順で考えますが、、、その場合でも、「誰に売るか?」のあとに「どう売るか?」を考える必要が出てきます。
いずれにしても、 マーケティング戦略を考える手順はデータも大事ですが、数値化しにくいソフトの部分も考える必要が出てきます。
もちろん、あらゆることを数値化することも不可能ではありません。
しかし、その場合は膨大な時間と費用を投資する覚悟が必要です。
そして、膨大な時間と費用をかけてマーケティングリサーチを行ったところで、 マーケティング戦略が奏功するかどうかは実際に商品を売ってみないとわかりません。
膨大な費用と時間と広告費をかけている大手の企業ですら、売れない商品を出していることを見ればそれは明らかですよね?
ですから、私たちのような事業主がすべての情報を集めることは難しいこと、そして、売ってみなければ正しい答えはわからないことを理解した上で、上記のポイントを踏まえた仮説を立てて、最速、最小コスト、最小リスクで売ってみることをオススメします。
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