USPがなくても、こうすれば売れる。
成熟した市場でライバルが多ければ、USPは強力な武器になります。なぜなら、USPは「独自の売り」であり、言い換えれば、他の商品ではなくあなたの商品を買わなければいけない理由になるからです。
しかし、実のところ、USPがなければ売れないわけではありません。
条件さえ整えば、USPなんてなくても売れるのです。わかりやすい例を一つ挙げましょう。
想像してみてください。
普段あなたは、なるべく健康に良い物を食べるようにしているので、添加物も防腐剤も入っていない食品を自分で料理して食べています。精製された白い砂糖はとりません。ジャンクフードなんてもってのほか、そんな体にわるいものを食べるなんて意味がわからない。と、あなたは思っています。
しかし、今、あなたはお腹が空いています。もう、3日間何も食べていません。
そして、目の前に某ファストフードチェーンの、防腐剤、PH調整剤、人工甘味料、グルタミン酸、などなど化学式バリバリの添加物がふんだんに使われたハンバーガーとポテト、1杯に50gは精製された砂糖が入った炭酸飲料が置かれています。
食べますか?食べませんか?
普通食べますよね(笑)
つまりはそういうことです。お腹がペコペコの人の前に食べ物を出せば、それがどんなにありふれたものでも、それどころか平均以下のクォリティのものでも売れるということです。
このアイデアは残念ながら私のオリジナルではありません(そんなに賢くはない)。ゲイリー・ハルバートというコピーライターが、「飢えた群衆」と呼んでいる考え方です。
飢えた群衆さえ見つかれば、どんなにまずい食べ物でも、USPなんて全然なくても売れるというわけです(そりゃそうだ)。
これは本質的なことだと思うんです。つまりは、高いニーズがあってそのニーズに対してプロダクトやサービスの供給が置いつていない市場を探すのが大切ですよ。と言うわけです。
もっとも、そういった市場を見極めるのは結構難しいかもしれません。なぜならば、そういう美味しい市場には大抵誰かが先に参入しているもので、手付かずになっているとしたら何らかの障害がそうさせている場合がほとんどだからです。
ですから、通常であれば競合がしっかりいる市場に参入したほうが成功率は高いです。例えば、フォードがいる自動車産業に挑戦したGMや、キューサイが市場を作ってから青汁に参入したファンケル、DHCが作った市場にドクターズコスメで参入したドクターシーラボがその好例といえるでしょう。
しかし、ここで言いたかったのは難易度の問題ではありません。USPを使うと有利に競争が展開できるということと、「USPがないと戦えない」というのでは全く意味が違うということです。
USPは効果的に使えばとても役立ちますが、それがないと戦えないわけではないし、お客様が購買心理のどの段階にアプローチするのか?また、お客様がどんな状態にあるのか?の方が、よほど重要だということです。
USPはそれがあれば、全てが解決するような「魔法の薬ではない」ということ理解していれば十分です。知識は力です。ただし、それが前に進む力になるのは、知識を道具として使った時に限られます。知識を「できない理由」にするならその知識はあなたを縛る力になるでしょう。
どうせ使うなら、進むために力を使いましょう。
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