小さな会社の 売上アップ 術:4つのパターンの業務提携

2015.10.30 (金)

売上アップ の方法として比較的簡単なのが業務提携という戦術です。横文字にすると、アライアンスとか、ジョイントベンチャーというやつですね。マーケティングのアイデアとしてはメジャーなものです。この戦術のいいところは、自社からの持ち出しが「増えない」ことが挙げられます。私自身、クライアントの業務提携を実務的に担当したり、仲介したりすることが多いですが、基本的に相互に持っているリソースを持ち寄るようなスタイルがほとんどです。

 

売上アップ というと、とかく広告費の増額や、新商品の開発、営業マンの増員などという初期投資の高い方法が重視されがちですが、、、個人的にはそういった手法は後回しで良いと思うことが多いです。

 

というのも、 広告費の増額はテストと検証繰り返す根気がなければ成功は覚束ないですし、単に広告費を増加したり、新たに投入しただけでは成果は出ないからです。投資対効果を出すまでやり続ける気がなければ、無駄なコストを垂れ流す結果になります。

 

新商品の開発も、リサーチをキチンと行って、企画を立てて、製品を作るまでのプロセスをきちんと踏んで行わなければまともな商品はできませんし、なおかつ作った商品が思惑通りに売れるか?は、やってみなければわからないです。もし、先に売れるかどうかを確かめたければ、「売ってから作る」という方法もあります。いわゆる「ドライテスト」というやつです。その場合には、売れた時、売れなかった時をどの程度の数値で判断して、その後、どのような方法で商品を提供するのか?を綿密に計画する必要があります。なぜなら、その対応、次第で会社の信用を落とすおそれがあるからです。

 

次に、 売上アップ を見込んで行われるのが営業マンの増員です。しかし、個人的には営業マンの増員は慎重かつ計画的に行うべきだと思います。理由は、人件費を増額することは、すなわち固定費の増額です。ですから、営業マンを増やしても売上が伸びなかった場合には、コストだけが純増することになります。増やした営業マンの一人あたり生産性が、明確に計算できる場合を除いてはオススメできる方法ではありません。しかも、営業マンを増員しても売上が伸びないと、既存の今まで会社に多大な貢献をしてくれていた営業マンたちに不満がたまります。彼らからすれば、「こんなに貢献してきたのに、何の見返りもないばかりか、負担まで増やされて、ボーナスが減った」という感想を持つからです。といわけで、 売上アップ を見込んで単純に営業マンを増員する考えには私は否定的です。

 

では、どのように 売上アップ を目指せばいいのか?という問いに対する回答が業務提携というわけです。以下、業務提携の4つのパターンについて解説していきます。

 

1.提携相手のリストに自社の商品を売る

この方法は、あなたが持っている商品を相手に売ってもらう代わりに、何らかの見返りを業務提携先に返すという方法です。もっとも、イメージしやすい方法ですね。例えば、5万件の企業リストを持っている企業に対して、自社のOA費用削減サービスを売ってもらうというようなパターンです。そして、サービスの販売売上の何%かをリストの提供元に支払うというような提携の仕方ですね。この方法を使うと、簡単に 売上アップ ができます。

 

商品提供側が得るもの:

・新たな顧客

・新たな売上

 

顧客リスト提供側が得るもの:

・本来得られなかったはずの売上

 

という形になります。私が商品提供側であれば、継続性の商品を販売して、初回の売上の100%をリストの提供元に支払う方法を取ると思います。そのほうが、相手にとってのメリットが大きいですし、メリットが大きい業務提携であれば次回も相手が承諾してくれる可能性が高いからです。ついでにいうと、顧客リストがどんなに多くても、その全てと多額の取引をしている企業は殆どありません。ですから、リスト提供元からすれば、お金を生まないリストもかなりあるわけです。そこから売上が上がるとすると、実はかなり大きな価値があります。

 

2.自社のリストに提携相手の商品を売る

これもわかりやすいですね。自社の顧客リストに対して、相手の商品を売込むわけです。先ほどのパターンとは立場を入れ替えただけなので解説の必要はありませんね。この方法でも、比較的簡単に 売上アップ ができます。リスト提供側の立場で、効果的に 売上アップ を図るという視点から、条件面を考えるとこんなことを考えておくといいでしょう。

①お金の取りどころを何段階かにする。

いわゆるフロントエンドと呼ばれる、入り口の安い商品の売上に対してフィーをチャージするだけでなく、提携相手がバックエンドと呼ばれる収益商品を売った売上にもフィーをチャージするという方法です。

 

②継続的にフィーをもらえる契約にする。

提携相手の継続商品を自社のリストに売った場合に継続的にフィーをもらい続けるという方法です。例えば、20%のフィーをもらい続けるとしたら、、、5社に売れれば1社分のフィーをもらえるわけですよね?100社なら、20社分、1000社なら200社分。しかも、このフィーを売上として見ると、リスト提供元のあなたのコストはゼロです。つまり、まるっと、ゴソッと利益になりますよね?販売後の手間も維持工数も、大抵、相手が負担するわけですから、良い取引じゃないかと思います。

 

③提供リストを非アクティブなものだけにする。

例えば、RFM分析をして、顧客をS/A/B/C/Dランクに分けたうちの、SとAは外して、B以下のランクの顧客リストだけを提供するという方法です。SとAはお得意様なのでそれ以外のリストを提供するということです。お得意様を何かの拍子に失うのは、経営的に大ダメージです。ですから、なるべく他社には触れさせたくないですよね?そして、B以下のランクのお客様はもともと、大きく利益貢献をしていただいていないお客様なので、何らかの方法でより多くの貢献をしていただけたらありがたいわけでうす。そして、それは「自社の商品を販売した結果としての利益」である必要はありません。 売上アップ という観点からすれば、自社の商品によるものだろうと、他者の商品によるものだろうと関係ないですから。

 

3.バーター取引

私が個人的にもっとも好きな方法がこれです。バーターというのは、いわゆる「物々交換」です。例えば、先ほど来、お伝えしてきた方法はどちらかが「商品提供側」で、反対側が「顧客リスト提供側」なわけですが、バーターであれば両方の役割をお互いにすることになります。

典型的な方法は、お互いの顧客リストに、相手の商品をそれぞれ紹介する「相互紹介」という手法があります。この方法であれば、お互いに自社の商品を今までリーチ出来ていないお客様に売ることができるわけですから、 売上アップ への貢献度は高いです。

他にも、例えば、雑誌やフリーペーパー、ホームページ、メルマガの広告枠をタダで貰う代わりに、商品売上の◯◯%を支払います。というバーターもあります。これも、相手からすれば広告枠を空けていても一円にもならないわけですから、そこがきちんと埋まって金が入ってくれるなら願ったりかなったりですし、商品を出す側としても売上に応じたフィーを払えばいいわけですからリーズナブルな取引になりやすいです。

あるいは、広告枠をもらったり、告知をしてもらう代わりに、商品を物納するというパターンのバーター取引もあります。例えば、中古車屋さんが広告枠をもらう代わりに、中古のベンツを提供してお金を使わずに広告枠をゲットしたという事例があります(実話)。

要するに、バーターというのは 売上アップ の手段をお金を使わずにゲットする手法というわけです。

 

 

4.業務提携の仲介

この方法も、 売上アップ の手法としてはとても有効です。個人的には、私が起業して最初に手がけた業務提携はこのスタイルでした。仲介のすごいところは、仲介者に手持ちのリソースが必要ないことです。簡単に言うと、利害が一致して、業務提携をする可能性がある2つの会社を知っていればできてしまいます。

「会社と会社を繋げるだけでお金をもらえるのか?」という疑問がわきますよね。そこは、単に繋げてもタダ乗りされるだけなので、繋げる前に契約書を取り交わしておくことが必要です。業務提携の結果として発生した売上の◯%を支払ってもらうとか、提携が成立した場合に手数料として◯◯万円を支払ってもらうとか。

とはいえ、リソースなしで 売上アップ を図れる手法なので、これは有効です。

 

 

まとめ

今回は、持ち出し無しで 売上アップ を図る方法として「業務提携」を取り上げました。業務提携には、大きく4つの手法があります。その1.提携相手のリストに自社の商品を売る、その2.自社のリストに提携相手の商品を売る、3.バーター取引、4.業務提携の仲介です。どの方法も、手持ちのリソースを使ってできる 売上アップ 手法ですので是非試してみていただければと思います。

 

契約書の内容は?実務面は?条件はどう取り決めたらいい?などなど、細かい心配はあると思いますが、小さく、リスクのない範囲で、素早く、何度もチャレンジするのが成功の鍵です。

 

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